坂本功先生インタビューに向けて1

(今浦)
坂本功先生インタビューが近づいてまいりました!!

建築士1級に更新制度が導入されそうな今日この頃、この時期に坂本先生とお話させて頂けるというのはぐっとですね!
はりきっていきましょう。

坂本功先生の著書である「木造建築を見直す」の1章―4章のポイントをアップしますので、皆読んで予習するようにお願いします。

 →色を変えてあるところは、先生の言葉で印象的なものです。


『木造建築を見直す』坂本功著2000年

目次
1.復活する大規模木造建築−空白期はなぜ存在したか
2.天平の甍の秘密−日本の伝統構法のしくみ
3.在来軸組構法−そのなりたちと仕組
4.世界の木造建築−その多様性
5.自重は小さく強度は大−木材の基礎知識
6.現代木造住宅に余力あり−木造住宅の耐震性
7.木造住宅を診断する−耐久性・地盤・耐震診断の基礎知識
8.さまざまな課題−木造建築は現代の鏡

  • 木造の暗黒時代を迎えない為に我々が今すべき事は?

木造建築の空白時代
1960年以降、戦後の混乱期からの脱出、鉄鋼やコンクリート量産体制の確立、戦時中に荒れた山が回復待ちの状態で木材不足であった事、建物に対する要求性能の向上(燃えない建物。台風対策。耐久性。)を背景に、新築は鉄筋コンクリートor鉄骨造の時代となりました。
復活の理由
しかし1980年代、大規模木造建築が復活してきます。その背後には政治的経済的理由がまずありました。貿易摩擦により、木材輸入の必要性がでてきたのです。同時に、成長してきた日本の山では国産材の余剰が起き、また、長い間木造に関わらなかった建築家がふたたび興味を持ち始めたという側面もありました。さらには、木のあたたかみを求める人々の声も大きくなっていました。


空白期の弊害
空白期の間に、大規模木造の構造設計のノウハウや構造計算の経験が失われてしまいました。現在でもこのハンディは続いていますから、構造においては後退期であったのです。その他の構造において使用されているコンピュータ解析技術が木造にも応用できることは利点といえますが、その結果を精査できる人材がいないのは危険な状況です。
さらに、空白の時代の間に、木造の研究者がいなくなってしまったのです。阪神大震災が起きたときにそのことが露呈しました。
坂本先生は自分への戒めとして以下のように述べています。

そのときのはやりで、ある研究分野が脚光を浴びるのは良いとしても、何かの理由があり、その結果すたれているといって、その分野の研究が冷遇されるのは、のちに災いを残します。」

よい建築をつくる時代
木造であればよいという時代は終わりました。これからは木造で良い建築をつくらねばなりません。そうでないと次は空白ではなく暗黒の時代を迎えてしまうのです!

→DECoが目指す木造はどんなものでしょうか?

  • 維持し、生き続けるのが木造

唐招提寺金堂の屋根も、法隆寺金堂の屋根、五重塔も、東大寺南大門も、決して創建当初の姿で今まで残ってきているわけではありません。大仏殿の屋根は鉄骨製のトラス(イギリス製)です。つまり、みんな欠陥建築だったんですね。
五重塔を建てた大工が耐震技術を理解していたわけではないのです。


大切なのは、法隆寺の大工が、1300年もたせるに値する建物を作ったということです。

ここで松村先生のインタビューを思い出してみると面白いですね。
「保存されている建物って、優れているからじゃないんだよ。立て替える余裕もなくて、“残っちゃった”っていうのが圧倒的に多い。」という主旨のことをおっしゃっていたと思います。

  • 畳について

間取りと畳の寸法
畳を単位とした間取りの取り方は優れたシステムで、これがあるから日本では素人でも間取りを考えることができます。


「畳の家が減っているのは残念な気がします。」
「もっと気軽に、いろいろな構造材料や構法を組み合わせた建物が作られるようになってほしいなと思います。」

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持続されて生きていく、木と共に残っていく。
そこには意思と意志が必要なんですね。
個人的には、薀蓄豊富な大工さんと二人三脚で木造マイホームを建てることに憧れます。

最後に読売新聞の記事から↓
アメリカの構造審査を請け負う市の職員からの言葉です。
「民間に委託するなんて信じられないよ。姉歯アメリカじゃ悪さできなかっただろうね。日本は経済優先で地震国だって事を忘れたのかい?」
「日本は精密な機械や車を作れるのに、建物は建てられないんだね。」

…非常に悔しいですね。まさかアメリカ人に言われるとは。とはいえ、私も構造は分かりません。
建築をマスターするというのは大変ですね。だから皆でチェックしあうのが必要なのでしょう。
アメリカでは、工事現場に少なくて数回、多ければ百回以上の検査が入り、ボルトの間隔までチェックされるそうです。