ロマンスカー

ロマンスカー

先日、小田急ロマンスカーの新型車両50000形VSEに乗りました。VSEとはVault Super Express(ヴォールト・スーパー・エクスプレス)のことです。


ヴォールトという名のとおり、車両内の天井がかまぼこ状になっています。断面図を見ると、このヴォールト天井の裏側は空調ダクトになっており、ちょうど車両の上半分をくるりと空調ダクト(ダクトというよりチャンバー)が巻いているような感じです。そして、空調ダクトの外側はもうアルミ押出材の構体です。
外から見てもヴォールトの形が表れています。


ギリギリまで内部空間を大きくしさらに車両自体を軽くしたいのですから、車両を断熱材で巻くわけにはいかず、室内を暖かくするための建築的な解決策はありません。
空調のみで室内環境を調整しなくてはならないのが、電車の車両なのだと思います。ですから、その車両が空調ダクトの膜でできている、というのがとても面白く感じました。電車の車両というのは、「建物」というよりもむしろ「焚き火」に近いのかなーと思ったりして。


いろいろとオシャレで高級感を感じる室内で、空調の吹出口を見つけ出すことができませんでした。普通は天井に吹出口があって、そこから下に向かって空気が吹き出しているのですが、VSEのヴォールト天井はキレイにリブがついていて、何もありません。(ちょっと小さく四角く見えるのはスピーカーです。)
どうやら、ヴォールト天井と壁の境界にある荷棚に吹出口が付いていて、ヴォールトの接線方向へ曲面に沿って吹き出すんだそうです。(つまり斜め上向き?)気流のシミュレーションなどで検討しているのかもしれませんが、人間に直接空気が当たらずに、でもキレイに車両内に空気が対流するようにできているのかもしれませんね。
この荷棚には空調吹出口のほかに、LED照明ラインや、ロールスクリーンなどが仕込まれているそうです。


とまぁ、なんだかいろいろと面白いシカケがあるっぽいのですが、私は実は後展望席に座ったので、ちょっとイレギュラーな席でした。ロマンスカーは展望席の2階が運転席になっていて、展望席の天井の小さなハッチから梯子で、その運転席に入り込むみたいです。運転席はコックピットといった趣きで、なんだかモエモエ。
あとは、他の見所はトイレでしょうか。水洗じゃないのに、水洗の感覚を得られるというアレです。使ってみるとなかなか感動的です。

みなさんもぜひ、乗ってみたときはあちこち見回してみましょう。(あんまり哲学的な話にならなくってごめんなさい。)
文章:田中堤子