人間と流体と建築

"生物は流体の中でしか生きられない"

先日、生産研の加藤信介先生の講義で聴いた言葉です。

僕は今の生活時間の大半を流体力学関連の勉強に費やしています。
流体の勉強ばかりしていると、建築から少し遠ざかっているように感じることもあります。

しかし、建築や設備が流体を取り入れたり、保持したり、排出したりすることは人間の生活にはとても重要なことです。
というのも、人間を含め生物は自分の内部や周りに流体が無ければ、栄養を摂取することも、老廃物を排出することも、生殖することもできません。
普通に建築を勉強しているとあまり意識されることはないですけど、人間と流体と建築の繋がりはとても強いのです。


だから今は、流行に乗ってコロコロと変わるようなデザインを勉強するよりも、建築の基本となる理論を学ぼうと日々励んでいます。
もちろんデザインに興味が無くなったわけではなくて、今はその前段階の準備期間だと思ってます。


断熱気密やエアコン、床暖房が当たり前になってきていて、今さら流体力学について何を新しく学ぶことがあるのかという疑問もあるかも知れませんが、実は流体の運動はまだ厳密には解けていない問題で色々と面白いです。
数々の数学者、物理学者が乱流の運動の記述をしようと試みましたが、どれも完全ではないもので、乱流の運動を理解するには、取り扱う流れの性質を自分で見極めることが求められます。
解が決まらないとか、細かいことを気にしすぎるとうまく行かないとか、どこか建築の設計に似てる部分もまた、僕が流体を面白いと思うポイントなのかもしれません。

今は乱流解析モデルの色々な例を勉強してますが、もう少し流体に詳しくなったら建築や設備のデザインと僕がどう関われるかをもう一度考えていきたいと思います。

(大西 直紀)