モアイが教えてくれること

(文:馬場)

photo: http://www2s.biglobe.ne.jp/~mimaki/


イースター島でモアイづくりをやめなければならなかった理由を知っていますか?


モアイは10〜17世紀にかけて、ポリネシア人によってつくられていました。
彼らの部族社会では、偉大な祖先が崇拝の対象でした。
当時、モアイは各部族の力の象徴であり、彼らはより多く大きいモアイをつくることを人生の全目的としていました。


そんな時代がおよそ800年続きました。


はじめ緑豊かだったイースター島は、モアイの製造、運搬のために、大量の木材が伐採され、
森林を失い、雨水が肥えた土を海に流し出し、土地はやせ衰えていきました。
そうして食糧が少なくなり、逆に人口は幾何級数的に増えていき、彼らは生活ができなくなり、
ある時を境に突然モアイはつくられなくなりました。


モアイは宇宙人がつくったとか、世界の7不思議として挙げられることが多々ありますが、
人がつくったものです。科学的にも証明されています。
ただ、こんなに何世紀にも渡って、自分たちを破滅に追い込むまでモアイをつくり続けた、
その人々の気持ちはとても不思議です。
単に部族間の競争を超える何かが、モアイづくりにはあったはずです。


今も人間は多くの資源を使い、モノをつくっています。
それは、当時彼らが部族間の競争に勝つために必要だったように、今はお金を得て生きていくためにつくっています。
でも、お金を得る以上にモノをつくること自体を多くの人は幸せに思っています。
人間ってそういう生き物なんでしょうね。


自分たちを破滅に追い込まないようにモノづくりをしようとしている私たちは成長しているんだなとは思いますが・・・。