商業建築

deco20052006-07-27

(文:今井)

いわゆる都心近郊のロードサイドに立地している商業建築(ロードサイドショップ)について最近、思ったことをまとめてみたいと思います。


これらの店舗の多くは早期の減価償却をするべく10〜20年の定期借地で契約しています。そのため、建設コストもできるだけ最小限に抑えられ、結果として鉄骨の骨組みにALCか金属系の外皮を張りつけただけの簡素な建物が設計されています。


また、室外機は人目につかないように消費者専用の出入口の反対側に剥き出しに置かれています。そして、店内に入ると消費者を囲い込むために、冷暖房がこれでもかというくらい強く効いています。


環境的視点から顧みると、建築形態と材料・設備が全然マッチしていません。さらに、商業建築による環境負荷は大きく、室内で消費されるエネルギーや全面アスファルトで覆われた駐車場の規模を比べると沿道に見られる緑化計画は、エクスキューズ程度のものです。


しかし、こうした商業建築は、数あるビルディングタイプの中でも決してマイナーな存在ではないにもかかわらず、学校教育ではあたかも商業建築など存在しないかのように取り上げられることは少なく、教官レベルでは商業建築に携わるデザイナー達を見下しているような気さえします。


現に、商業建築を研究対象とした論文は、研究の難しさを考慮しても数えるほどしかありません。


このような建築的にも、また学校教育でもうまくいっていない商業建築の現状は憂慮すべきことです。


もし現状を変えていこうとするのならば、店舗の設計が敷地形態に応じてマニュアル化されているように、建築界の方からローコスト&簡易でかつ環境負荷を減らせる、一種のカタログのようなものの設計にコミットしていくのが1つの道かもしれません。


カタログを普及させることで当面の問題を解決する、新しい建築形態の可能性を追求する他にも環境的視点から検討することはたくさんあります。