私とデコとエコキュート

(文責:馬場)

空気も熱も感じることはできますが、目で見ることはできません。
設備はその見えないものが集合したもので、やっぱり見てるだけでは何もわからない。
実験・解析をやってみてはじめてその動きや働きを知ることができる。


これらは当たり前のことですが、すごいことです。
実験をしていると、普通に生活していたら物理的に見えないものを本当に目で見ることができるんです!


私は水の流れと熱の流れを可視化する実験をしています。
ここでちょっと給湯機の話を。
みなさん、ご存知のエコキュート
あれは使うときにお湯をつくる瞬間式ではなく
あらかじめお湯をつくって貯めておく貯湯式の給湯機です。
貯湯式の給湯機には、貯湯槽と呼ばれるお湯を貯めておくタンクがあるわけですが、
エコキュートの場合、お湯と水がタンクの中に入っています。
貯湯槽の中はつくったお湯だけが入っていると思われがちですが
タンクの中には、つくったお湯だけではなくて、これからお湯になる水も入っています。
お湯が上側で、下側に水です。(↓とてもわかりやすい図)
http://www.chuden.co.jp/electrify/ecocute/index2.html中部電力エコキュートのしくみ)
タンクの中は常に満水にしておかなければならないのですが(つぶれちゃうらしいです)
毎日そんなに大量のお湯を使うわけでもありません。
そこで使う分だけお湯をつくればいいように水も入っているわけです。(と私は理解しています・・・)


お湯と水が同じタンクに入っていたら、混ざってぬるくなってしまうのでは?と疑問に思われた方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。
水とお湯は比重が違うので、静かに隣り合っているだけでは、ほとんど混ざりません。


まさにこれが実験していることです。


タンクの下側にあるこれからお湯になろうとしている水は、ヒートポンプ回路に行ってお湯になりますが、ぬるま湯がヒートポンプにいくと効率が落ちます。
エコキュートにとってタンクの中の理想の状態は
お湯と水がそれぞれ、熱いまま、冷たいままで存在していること。
でもお湯を様々な条件で使っていると、どうやら混ざってしまうようだということで、タンクの中で何が起こっているのか、お湯と水がどんな動きをしているのか、実際に目で見てしまおうという実験を今はしています。


お湯と水をどうやって見分けるのか?
どっちも透明です。だから水に粒子を入れます。
レーザーを当てると緑色にキラキラして、どこが水なのかがわかります。
逆に何もないところがお湯です。


こうしてお湯と水の動きがわかったら、よりエコキュートの効率を上げるようにタンクの形や管の配置が変わるかもしれません。




私は、環境系にきて、更に可視化実験をしてきて、見えないものを見えるようにすることの重要性を(そして大変さを)感じてきました。
デザインとは、「行おうとすることや作ろうとするものの形態について、機能を考えて構想すること」です。建築は多くの見えないものによって構成されていて、機能が働くように実際のカタチをつくる必要があります。環境のように見えないものを機能させて、見えるデザインに変換していくには、まず環境を見えるものにしていくことが必要だと思っています。
そして、これがDECo的視点から見た私の実験の意義なのかなと思っています。