サバイバルシェルター

(文:市村)


現在、設計課題でサバイバルシェルターの設計をしています。
災害時、家以外の場所で暮らさなくてはならないときのシェルターです。
調査していておもしろいものがたくさんありましたので、
環境という観点でいくつか紹介します。



サバイバルシェルターといえばまず思いつくのはテント。
テント膜に使われている素材GORE-TEXは防水でかつ高透湿です。
なのでテント全体が呼吸し、湿気を排出します。
またベンチレーターもついていて、室内の換気を行います。
ただし断熱性は低いです。軽さが求められるテントでは雨をしのぎ、寝袋やマットなどで断熱する、という考え方ですね。
1〜2人用で重さは1.5kg、値段は3万円。


次はより身体に近いものです。
アルミ蒸着シートは非常時にブランケットのように体をくるむことで体温を保持するアイテムです。
輻射で熱を奪われるのを防いでいて、同じ技術は住宅でも使用されています。
とてもコンパクト(152mm×244mm)で安い(500円くらい)のが魅力的。


温熱環境以外にも、人間が暮らす上で必要なものがあります。
例えばトイレ。
持ち運び可能な折りたたみ式携帯トイレは、非常時にどこでもトイレができます。
折りたたみ式の便座を開いて、そこに汚物袋をとりつけて使用します。
マンホールの上なら、直接流しても大丈夫なようです。
マントがついていて、「周りから見るといすに座っているように排泄できる」というのには笑いました。
袋だけのもっとコンパクトなトイレもあるようです。


登山用や宇宙用の技術は、本当に極限の環境と対峙しています。
山や宇宙と比べて、災害時の避難用シェルターは普段と変わらない環境に置かれ、そこで生活するものです。
快適性や個別性を追求したようなサバイバル・シェルターがあると、
避難生活も少しは楽しく遅れるのではないでしょうか。