畳表ができるまで

先週末ピソコモド社でプレゼンをさせていただいたあとに、畳表の製造工程を案内していただきました。


1 イグサの刈り取り


畳表はイグサという植物を編んでつくられています。真冬に植えられたイグサは、ちょうど今頃、初夏に刈り取りの時期を迎えます。肥料が足りず栄養が行き届かないと、種の防衛本能が働いて花がたくさん咲いてしまうそうです。イグサは折れてしまっては商品価値がなくなるので、ネットを田んぼに張って補助しながらまっすぐに育てられます。収穫前にはネットをはずし写真のようにぐったりと寝かしつけられます。何万本ものイグサが風でそわそわとそよぐ様は、何度もその上にダイビングしたい衝動に駆られました。現在、日本国内の主な生産地は熊本県の八代。現代では機械化が進み、写真のような刈り取り機がイグサを刈り取りながら一定本数ごとに束ねていきます。それをトラックに積み込んだら次の過程、染色に進みます。



2 イグサの染色


刈り取られたイグサは染土と呼ばれるに岩石由来の染料によって着色されます。釜のような機械に投入し、泥を噴射していきます。イグサを染めるのは乾燥を早めることで葉緑素を固定し、発色を安定させるためです。この過程で畳表独特のあの香りが醸成されます。



3織機


乾燥したイグサは織機にかけられて縦糸で編まれていきます。畳表の製造は、栽培・刈り取りから織るところまで、全工程を一人の生産者がすべて行います。織るところまで携わって初めて、利益が出る仕組みになっているらしいです。筑後に去年69件あったイグサ農家は、今年になって50件に減ってしまったそうです。国内全体ではおよそ1000件のイグサ農家の方がいらっしゃるのですが、熊本にはそのうち800件の農家が集中しています。


(小見山陽介)